
『私たちの青春、台湾』を先日横川シネマで観てきました。
昨年、たまたまBSでこの映画と監督の特集を観て是非観てみたいと思っていた一本。
しかし、映画が始まると、このトーンはやばい、寝てしまうぞとすぐに思った通り、前半うとうとしてしまいました。
監督の、抑揚のないナレーションというか語りが一本調子で続くのでしんどかったです。
内容的には、台湾のひまわり運動の中心人物二人の大学生を追ったドキュメンタリー。
男子大学生の陳為廷はカリスマ的な存在で、学生運動を牽引していく。
女子学生の蔡博芸は中国からの留学生で人気ブロガー。
観ながら…あらゆる社会運動に、人はヒーローを求めがちなのだけど、ヒーローは決して居ないし
結局は個で動くしかないのだけどな…ということを感じました。
団体を作っても、結局その中で仲間割れを起こしたり、その団体における問題が勃発して
本来解決したいはずの社会問題に向き合えなくなっている…という状況を私個人も見てきました。
そういった難しさや、「中国は台湾の敵だ!」などと言われ、
一緒に活動している蔡博芸が「私もいっしょに運動しているのに」「私のことは誰も気にしないのかな…」と傷付くシーンなどは良く撮れているなと思いました。
しかし、後半、ぎょっとすることがあり…
陳為廷が実は痴漢の常習犯である(あった)という事が判明。
高校時代は特にひどかったとのことで、大学に入りカウンセリングを受けて回復したそうですが…
昨年から『男が痴漢になる理由』という本を読んでいますが
しんどくていま中断している私としては嫌悪感でいっぱいになりました。
しかし、本に書いていたように陳為廷は「(女性の事を)本質的に人間と思っていないからやってしまう」というようなことを
言っていて、やっぱりそうなのかと思いました。
映画のラスト、彼は大学卒業後、兵役を終えて渡米したいと勉強をしていました。
これはこの映画を観た友人が言っていたのですが「女性にあんなことしておいて渡米しか頭にないって、キム・ギドクか」と。
カウンセリングを受けて治癒したとしても(痴漢は認知の歪みの病だと思うので、治癒という言葉を使います)
映画の中で見せていないだけで猛烈に反省していたとしても
でも、なんというか…彼の、彼自身のその行為への反省というか、
映画としての痴漢行為の扱いというか…あっさりとしているように感じられて
びっくりしました。もちろん、いつまでも反省して落ち込み続けていてほしいとは思わないし、カウンセリングを受けて治って良かったと心から思うのですが…。
やはり映画の中でも彼の痴漢行為の扱いがあまりにあっさりとしていることに違和感を感じているのだと思います。