全体的に何が言いたいのかイマイチ伝わりづらい。
主人公の新聞記者の男は、幼い頃に母を亡くす。その喪失感に苛まれ、乗り越えられないまま40歳過ぎにまでなった彼の苦悩を描きたかったのだと恐らく思われますが、いかんせん母からの愛、母への愛の描きこみが足りない(二人の交流が感情移入できるほど描かれていない)ため、主人公の抱えている闇っぽいものが本当に母の喪失感なのかに観客として確信が得にくく半ば疑心暗鬼というか物語に集中して観る事が出来ない。
また、主人公の地代軸も母が亡くなった9歳、少し成長した中学生くらい、現在の40オーバー、少し前の30台半ばといういくつかの時代が行ったり来たりするため余計に分かりにくい。(30台半ばで実父と並んで歩くシーンはもはやどちらが父か分からない)

中学生時代のとき、親友の家で、親友とその母の絡みを見て羨ましそうにするという場面もあった(しかもその母親役は『もうひとりの息子』に出て来た好きな女優さんだった)けど、そのシーンの意味も余り大きくもなく、30台半ばで取材で戦地に赴き、「母親と息子」のふたりのショッキングな場面に出くわしたり、二回目の登場でいきなりキスして恋人になる医者との出会いがあったり何かとイベントはあるけど、どれもこれもしゃきっとしない。

キスシーンで、医者が涙する理由も腑に落ちない(医者役も『ある過去の行方』の女優さんで好きなのに。。)もちろん前段として新聞記事にしたある文章の件はあったにせよ。なんでいきなり熱い抱擁なん?涙のチューなん?!とビックリ。
母親の死因については、本当の原因は物語冒頭からうすうす勘づくし、冷静に考えて40歳過ぎてママの死因が、ママの喪失が、という人も個人的にはなんだかなあ、だ。

***もん***